アイルランド音楽

 ここ数年アイルランドの伝統音楽が静かなブームとなっている。本場のアーティストが来日する事も多くなり、あらゆるシーンでアイルランド音楽を耳にすることが多くなった。最近では大ヒットした映画「タイタニック」の中でも聞くことが出来る。

「ダニーボーイ」とか「アニーローリー」のような親しみやすく美しい旋律と、ジグ、リールといったノリのいいダンス音楽は、一見単純なメロディーの繰り返しに過ぎないように見えるが、その素朴さと力強さ、楽器の多様性の中に言い知れぬ魅力がある。

 去る11月6日北島町創世ホールで開催された「アイリッシュハープの世界」には県内外から200名を越える音楽ファンが集まった。演奏者の一人が言った。「こんなに客が入るなんて信じられない。東京でもこれだけの人は集まらない」。一般的には殆ど知られていない演奏家のコンサートに、これだけの聴衆が集まるのは珍しい。企画した創世ホールの小西昌幸主査の努力の結果であることは論を待たないが、アイルランド音楽が徳島でも認知されるようになったのだろう。

 今回の目玉はアイリッシュハープ。通常のオーケストラで使用されている大きなハープと違って、膝に乗せて演奏できるほどの可愛いハープである。アイルランド音楽はこの他に、アコーディオン、フィドル、ティンホイッスル、バゥロン、ブズーキといった独特の楽器の組み合わせで演奏される。アイリッシュハープで奏でられる古くも美しい旋律に心奪われた人や、ダンス音楽に思わずからだが動き出した人も多かったに違いない。

 「北島トラディショナルナイト」と名付けられたこのシリーズは、創世ホールの小西主査の企画により、昨年から始められたもので、演奏者のギャラも含めて、入場料収入で全てをまかなっているという。当初アイルランド音楽のコンサートにどれだけの人が集まるかとの不安もあったのだろうが、昨年、今年と200人を越える聴衆を集めた実績は大いに評価されるべきだろう。今後、小西主査を中心にアイルランド音楽の同好会を結成しようという動きもあるという。

 素朴で単純明快なアイルランド音楽は、懐かしく、時には力強く、現代人が忘れかけている何か大切なものを呼び起こしてくれるような気がする。


戻る

powered by Quick Homepage Maker 4.81
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM