二つのコンサート

 先日、相前後して二つのコンサートを聴いた。一つは11月21日北島町創世ホールで開催された「ケルトの息吹き、Hard to Find」コンサートであり、もう一つは11月23日県立文化の森21世紀館で開催された、「ブルガリアン・ヴォイス」である。どちらもめずらしい楽器を取り入れた民族色豊かな音楽の紹介という点では似ていた。会場の規模は340名と250名であったが、どちらも盛況で演奏内容も素晴らしく、手作りのプログラムなどに主催者側の熱意も感じられるコンサートであった。

 だが両者には決定的に違うところがあった。前者は入場料1500円、後者は無料である。
主催者側から言えば、前者は予算ゼロ、演奏家に支払うべきギャラを含む全てを入場料収入でまかない、苦しい台所事情でなんとかやりくりしながらも、毎回多くの支持者を集めている。一方後者は全てを県の文化予算でまかなっている。自治体の予算消費型の企画では、入場料収入をあてにする必要がない。如何に多くの客を動員できたかが最大の課題だろう。無料だからお客は沢山入るが、熱心なお客さんばかりとは限らない。私の知人は申し込みが遅かったせいで、入場券を手に入れることが出来なかった。だが、キャンセルのためか当日空席もあったので残念な気がした。もし、1000円でも徴収したならば、本当に聴きたい人だけがきて、もっと良いコンサートになったのではないかとも思った。

 以前にもこの欄で書いたことがあるが、入場無料というのは、ありがたい事ではあるが、実のところどれほどの文化的な効果を生みだしているのかと言う点に於いては多くの疑問が残る。無料とは言え元々県民の懐から出た税金のはず、やたらと無料のコンサートを連発するよりも、貴重な文化予算をより有効に使う方法は他にあるはずである。

 音楽文化は主催者と聴衆の間に育つ、習い事はお金を払わなくては身に付かないと良く言われるが、文化もまたしかりである。主催者側の熱意に答える形で聴衆が代価を払って参加し、企画をサポートする。こうした積み重ねが文化を創造する事につながるのではないだろうか。

 二つのコンサートに対する聴衆の反応の違いには、コンサート内容もあるが、入場料の有無による、聴衆の心構えの違いが大きく表れているように感じた。

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