家電製品の寿命

 昔々、テレビや冷蔵庫が高価なものであった頃には、どこの家でも大切に扱い、故障しても電気屋さんがやって来て、真空管を取り替えたり、半田付けをしたりして何とか修理して、かなり長い間使っていた。それに比べると最近の家電製品は大変寿命が短くなった。故障も多くなったが、修理するのに時間がかかったり、窓口がハッキリしていなかったり、修理可能な場合でも、費用を考えると、新しいものを買った方がいいと、修理を断念するケースもある。現在の製品は昔のものと違って、内部が複雑になっただけ、壊れやすいし修理もしにくいと言うことだろうか。

 ミニコンポ、ラジカセ、ビデオデッキ、プリンター、ウォークマン、電話機、最近壊れた我が家の電気製品だ。確かに昔のものに比べて壊れやすくなっている。しかも型替わりがはげしいので、数年も経てば時代遅れとなる。パソコンにいたっては、故障しなくても、5年もたてば、何の役にも立たない立派な粗大ゴミと化してしまう。最新のテクノロジーを結集した製品がこうも簡単に捨てられていくのはなんとも歯がゆい限りである。

 家電製品の多くは、海外の労働力の安い国々で組み立てられている。一昔前に比較するとビックリするほど安い製品もある。どうしたらこんなに安く作れるのだろうと、不審に思う製品すらある。安物だからすぐ潰れるというわけではないだろうが、愛着がわかないのか、大切にしなかったり、飽きてしまって捨てられる場合もある。

 扇風機、掃除機など単純な構造のものは、比較的長持ちするし故障する事も少ない。また、流行に左右されることもあまりない。ハイテクの電子回路を搭載したものや、複雑な構造の機器になると故障も多くなるし、寿命も短くなる。最新の技術を使えば、故障の少ない装置や、寿命の長い製品を作ることはいとも簡単なことのように思えるのだが、現実は甘くない。新製品が売れるためには、古い製品を買い換える必要がある。その為にわざと寿命を短くしたり、壊れやすくしているのではないかと勘ぐりたくもなる。

 次々と新製品を世に送りだし、古いものは次々と廃棄して行く。こんなサイクルが地球の寿命を縮める一要因となっているのは間違いない。高機能の便利さばかりを求めず、単純構造の長持ちして修理可能な家電製品がもっと世に出て欲しいものである。


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