西暦二千年問題

 ノストラダムスの予言でもないが、21世紀を向かえるにあたって困った問題が起きている。コンピュータのデータ処理に関する問題で、従来は日付の処理をするのに、西暦の4桁のうちの下二桁を利用してきたのが原因で、2000年以降の数字を入れるとつじつまが合わなくなると言うトラブルが発生するのだ。これを業界では西暦二千年問題と呼んでいる。これは初期コンピュータの処理能力と資源の制限に起因するが、現在のパソコンなどでは、全く取るに足りないほどの事なのである。

 例えば、日本国内においては元号が使用されているので、公式書類などはすべて内部で変換しなくてはならない。昭和の時代には、西暦の下二桁から25を引けば昭和何年かが計算できたし、平成になると、下二桁から88を引くという手荒い方法で、何とか生き延びてきた。だが、二千年になるとこうした計算は通用しなくなる。単純なことなのだが、これを正そうとすると、実際に大量のデータ処理をしている企業などでは、システムのチェックも含めると、多大の時間と費用がかかってしまう。

 コンピュータが一般的になったのは1960年代の後半だから、40年もすれば21世紀が来るのは当たり前、しかも現場のコンピュータは何年か毎に手直しとか、システムの入れ替えとかで多大の費用をかけているはずだ。その都度21世紀への対応を見送ってきた責任はどこにあるのだろうかと疑問は残る。ことコンピュータに関しては、技術者以外には内部構造などを知る者は少ない。だから技術者の言う言葉がすべて正しいことになるのがこの業界だ。もし、この問題で業界の動きが活発になり、ビジネスチャンスに結びつけるような動きがあるとしたら、こんな単純な計算をなおざりにしてきた業界の罪は重いと言わねばならない。業界の試算では2000年に全てのシステムを対応させるには技術者が不足しているという。おそらく、21世紀に突入しトラブルが発生する例も出てくるだろうし、とうてい間に合うとも思えない。

 急激な技術の進歩に、その場凌ぎの技術で対応してきたコンピュータ業界へのつけが回ってきたというわけだが、業界の慢性的な技術者不足という事情を察しても、西暦二千年問題を必然の問題のように大騒ぎするのはやめて欲しいものだ。


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