音楽ホール

 「響きの良い小さめのホールが、身近にあったら…」音楽仲間が集まれば必ず出る言葉だ。先日、響きの良い教会のホールで、稲垣稔氏のギター演奏会を開催したところ、演奏が始まる直前、シーンとなった客席に、「ザーッ」という音。空調の音と思い確認したところ、折からの土砂ぶりの雨が、屋根を打つ音であった。音楽専用のホールではないので致し方のない事ではあったが、やはり専用ホールの必要性を痛感した。

 ギターのような音量の小さい楽器は、ホールの響きの善し悪しに寄るところが大きい。響きが良ければ、演奏者は良い気分で演奏もできるが、逆に響きが悪いところでは、どうしても自分の音が聞こえず、力んでしまって良い演奏が出来ないものだ。

 文化センター、郷土文化会館のホールは大きすぎて使いにくい。自分たちで主催するコンサートは、そんなに大きな規模のものは必要がない。せいぜい二百から三百人程度を対象とする場合が多い。要求される残響の度合いは、楽器の種類によっても違ってくる。響きすぎて細かい音の動きが明瞭に聞き取れない事もあれば、細かいキズが程良く隠されて、全体の雰囲気として効果の上がることもある。

 古代ローマ帝国では、演説の声を大きく響かせるために、建築物に様々な工夫が凝らされていたと聞く。音楽のように特に響きを大切するものには、それ相応のホールが必要だ。響きの良いホールでゆったりとした気分で、好きな演奏を聞く。ものばかりがあふれて、あわただしく、騒々しい世の中、こんな贅沢な時間を過ごすことも大切だと思う。

 徳島市に新しい音楽専用ホールが出来る計画があると聞いている。関係者、識者の方々、どうか響きの良い小さなホールをこの町に作ってください。


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