川竹道夫エッセイ集
徳島新聞「視点」

お盆休み

 徳島に住む私にとって、子供の頃からお盆と阿波踊りはほぼ同義語、お盆休みは阿波踊りの4日間でもある。お盆の間にやろうと、あれこれ考えていた事もあったが、殆ど出来ずに昼間は好きなことをしてゴロゴロ、夜は帰省していた息子たちや親戚のものと阿波踊りを楽しんだり、酒を酌み交わす4日間であった。終わってみればあっという間だが、夏の暑い盛りに4日間の休養は大変ありがたいことでもあった。
 もともと宗教的な行事であったお盆は、仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)を略したのが始まりと言われている。本来は7月13日〜16日であったはずなのが、月おくれ盆として8月に行われるようになり一般に定着したと考えられている。先祖の精霊を我が家に迎え入れ、もてなしをした後にお墓に送り返すという一連の儀式は、仏教徒にとっては大切な行事であり、日本人にとっては、お墓参りとも結びついて、なくてはならない行事となっている。
 さて、忙しく働く大抵の日本人にとって夏期休暇はこのお盆休みだけだ。夏期休暇と呼ぶほどのまとまった日数はないが、それでも羽を伸ばせる絶好の機会ある。学齢期の子供を抱える親にとっては、夏休みの家庭サービスをするチャンス(?)でもある。欧米のように一月にも渡る長期休暇を取って、自分の趣味やスポーツに打ち込む時間をとれるライフスタイルがうらやましいが、日本の会社でそんな事したら、帰った時には自分の机はきっとなくなっている事だろう。
 正月、ゴールデンウィーク、お盆は3大休暇と言うことになるのだが、景気のいい会社の2週間とかの話はぬきにしても、まあ1週間くらいは欲しいと思うが、個人で営業している店とか、病院に務めている人には、休みどころではない厳しい状況だ。
贅沢は言っていられない、阿波踊りによる筋肉痛は残ったものの、お盆の4日間だけでも休んでのんびりすることでかなりの気分転換になった。
一夏のピークでもあるお盆休みを終えると世の中は秋の気配、つくつくぼうしが鳴きはじめ、やがて夏休みも終わる。相変わらずの不景気、そごうの経営破綻、相次ぐ少年による大事件、ええ加減にしてくれと言いたくなるような世の中も、そろそろ明るい兆しが見えて、実りの秋を向かえたいものだ。


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