川竹道夫エッセイ集
徳島新聞「視点」

送料

 以前、国際オークションについてこの欄で紹介したことがあったが、面白さにハマってしまった私は、海外からの郵便物を受け取ることが多くなった。多くは海外にすむ人たちの不要になった装飾品や文房具、工具、楽器などだ。国内での取引は、郵パックや宅配便などが主流になるが、問題はその料金と、送料に対する感覚の相違である。日本人が送料に対して無頓着なのか、海外(主にアメリカ)の人が細かいのか定かではないが、概して海外の人は、なるべくこちらの負担にならないように気を遣ってくれる。送料が品物より高くかかる場合などは特にだ。国内でもそういった気遣いをしてくださる方もいるのだが、たいていの場合は「着払いで送っときます。」ということになる。受け取りようによっては、「送料はあんたが払え、金額は知ったこっちゃない。」という風にも聞こえる。一方的な着払いの結果、国内の人からは小さなものを買っても、すぐに1000円近くの送料を要求されてしまう事になる。
 ところが、海外からの送料は以外と安いのである。海外から発送した品物が日本に届くのにどのような経路を通ってくるかは知らないけれど、航空機だから、成田か関空あたりに到着するのだろう。そこからは国内の料金が適用されるのだろうか、と私は推測するのだが、それにしても海外からの料金が安く感じるのはどういう理由によるのだろう。国内の送料だけを考えても、もっとかかりそうに思うのだが...。小さな物は5ドル(540円)以下で送ってくることもある。もちろん国内のように翌日配達は望めないが、早い場合は1週間で届く。丁寧に包装された品物が、安い送料で海外から届くと、細かな心遣いにうれしくなると同時に、「着払いでおくっと来ます」の何でも宅配便感覚の日本人の無頓着さは大変気になるところである。
 最近になってやっとオンラインによる決済も日常的になり、コンビニによる宅配業務と提携した決済機関も定着しつつある。IT技術の進歩による、急速な情報と物流の変化のなかで海外との個人的な取引はますます活発になるだろう。今後はグローバルな送料の見直しが必要になると思われるが、とにかく現状では海外からの送料と、国内もしくは海外への送料の格差に対する私の疑問は続きそうである。


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