川竹道夫エッセイ集
徳島新聞「視点」

投票に行こう

 徳島市長選挙が始まった。告示前日の1月27日徳島市内の教育会館では立候補予定者 による公開討論会「市長選びオープンフォーラム」が開催された。五人の候補者全員 が出席と言うことで、我々市民にとっては生身の候補者を比較検討出来る願ってもない機会となった。若者の政治離れが話題になることの多い昨今、身銭を切ってまで開 催を実現した佐野淳也さん他の若者達には敬意を表したい。予定の開会時間には400人程度の人が集まっていた。お互い腹のうちは分からないが、会場内を見渡しあの人はきっとあの人の支持者に違いなかろうなどと想像する事しばし、五人の候補者 がステージに現れた。あらかじめ用意された質問事項にそれぞれの思いを語る五人の様は、それぞれに違っていて大変面白かった。
 今回の市長選挙は戦後最多の五人という立候補者に加えて、各団体の思惑も交錯し、大変複雑な状況を呈している。出馬表明のタイミングを見てもその混迷ぶりが伺えるだろう。五人の候補者すべてが無所属の立場で立候補しているのもこの選挙の複雑さを物語っている。党派を越えた人間の戦いという意味では歓迎できるが、無所属というのが選挙の方便であったり、どの団体にもいい顔をする八方美人というのでは 話にならない。有権者も果たして誰を応援すべきなのか悩みは尽きないが、一人が当選し他の四人は落選するのが選挙であり、投票する側にとってはかけがえのない一票である。政党や政策論などによって左右されることもあろうが基本は人である。信頼するに足りる候補者に清き一票を投じるのが選挙の基本原理である。○か×かを問うた昨年の住民投票では54パーセントの投票率を達成し、うち91パーセントを越える市民が可動堰建設にNoの意思表示をした。これによって徳島市民は全国に民意の重さを伝える事が出来たと思う。そして今日本国中の目が徳島市民の選択に注目している。
 21世紀を迎え経済は滞り、沈滞ムードの市政に新風を吹き込む事が出来るのは誰なのか。市長を選ぶのは、私たち徳島市民である。前回市長選の投票率30.7パーセントはあまりにも低すぎる。投票するに値する人が居なかったというなら今回は五人の候補者がいる。あなたの選んだ人と共に徳島市政を変えるつもりで投票に行こうではないか。投票に行かなくては何も始まらないし、何も変わらない。新しい世紀はもう始まっているのだ。 


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