きとうむら社債

 木頭村がダムに頼らない村の振興策として設立した、第三セクタ方式の食品加工会社「(株)きとうむら」がいま経営のピンチに立たされている。細川内ダム建設に反対する木頭村の過去30年の戦いは、公共事業に頼らない村おこしのシンボル的存在として全国的に注目を集めてきた。だがここに及んで、(株)きとうむらの経営不振による累積赤字が、逆に藤田村長自身の首を絞めることにもなりかねない状態となっている。

 負債額2億8千万円は従業員10名程度の企業には決して楽な金額とは言えないが、過去に国や県が調査などの名目で計上してきた、莫大な金額に比べると微々たるものではないか。とはいえ、次期村議会議員選挙を控えたいま、社長としての経営責任を追求されることは必至だろう。
 このような藤田村長の立場を憂慮した人たちによる、「よいしょきとうむら」と命名された一般市民による支援団体もできているが、現実には(株)きとうむらの赤字解消と、経営の建て直しという大きな責任は藤田村長の双肩にかかったままだ。

 せっぱ詰まった藤田村長は、(株)きとうむらの社債を一般市民に、一口5万円の協力金の形で購入してもらう方策を打ち出した。これに答えて、木頭村や藤田村長への支援の声が全国から寄せられ、ある程度の資金調達のメドは付きそうな状況だという。
 だが腹が減ったら不機嫌になるのは人の常、おいしい餌で人を動かすのが世の習わし。こうした不安定な経営状況が続けば、長引く不況の中、「公共事業による経済の活性化」という呪文に心を動かされ、一時休止になった細川内ダム計画が復活しかねないのは、沖縄県知事選の結果を見ても明らかだ。

 ダムに頼らない村作りを目指す藤田村長の熱い思いとは裏腹に、(株)きとうむらの先行きには、まだ明るいきざしが見えてこない。経営状態の改善と、安定した雇用の確保は当面の大きな課題となるだろう。
腹が減っては戦は出来ぬ。木頭村の振興のために戦う藤田村長を応援するために、ここはもう一押し、ふところの大きな所を見せてやろうではないか。

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