町内会

 久しぶりに町内会の集まりに参加した。私の住む町では丁目ごとに町内会がある。
戦時中の隣組から発展的に継承してきた組織なのだが、今その存続が危ぶまれている。
町内会と言えば、年に一度の一斉大掃除が大きなイベントだったのが、なぜか掃除するところがなくなったとかで、大々的に活躍する場がなくなってしまった。秋祭りに「だんじり」を引っ張る人たちの姿も老齢化し、往年の元気さが見えない。

 月に数百円の町内会費の主な使い道は、街灯の電気代や共同募金などのお金という。どちらかと言えば、あまり目に見えない部分でお役に立っているものらしい。
町内会の会長さんは、みんなに嘱望されて会長になってもう何年になるのか、お年を召されたとはいえ、かくしゃくとしておられるが、後継者の問題は急務である。

 町内には、数年来の不況により規模の縮小を余儀なくされた工場の跡地などに、次々と住宅が建ち、転入する人も増えた、だが町内会の会員は毎年減っていく一方だという。
転入してきた人たちへのPRがたりないせいか、新規の入会者は少なく、町内会の存在すら知られていないようだ。 古くからの馴染みの顔で構成される町内会の雰囲気は、よその土地から転入してきた人たちには、割り込みにくい空気があるのかもしれない。また、マンションやアパートの住民は地域になじみにくいのか、町内会には関心がうすい。

 単純に向こう三軒両隣で仲良くしてきた、物理的距離で決定される仲間意識よりも、昨今は趣味とか、文化とか精神的な繋がりでできる仲間意識の方が、より大切になっているのは事実だろう。そんな中で、従来の町内会を維持して行くのは難しい事なのだろうか?

 火事があり、地震がが起きたとき、やっぱり身近にいる町内の仲間達の存在も意識しなくてはならないだろうし、いざという時に役に立つのもこうした繋がりであることは、阪神大震災の例を出さなくとも想像できることである。

 若い世代が一団となって村おこし、町作りに懸命に取り組む姿が話題に登ることも多いが、都市部には町内会の形骸を引きずりながら、後継者に悩み、解散もままならない町内会も多いと聞く。何とかしなくてはならないという気持ちもあるが、日常の仕事に追われ、疲れ切った重い腰はあがりそうにない。


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